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もしかしてフレイル予備軍?自分で簡単チェック

もしかしてフレイル予備軍?自分で簡単チェック

記事の分類
健康コラム
公開日
2021/10/28
最終更新日
2021/10/28

以前より歩く速度が遅くなったり、なんだか疲れた感じがずっと続いていたら、フレイル予備軍かもしれません。

最近よく耳にする“フレイル”ですが、年齢を重ねる上で是非知っておいてほしい言葉なんです。

正しく知って、しっかりフレイル対策していきましょう。

横断歩道を歩く老人女性

簡単チェックで自分の状態を知ろう!

膝に手を当てている女性

フレイルとは、英語のfrailty(虚弱)からきている言葉で、
「加齢に伴い、身体的な機能や認知機能などが低下し、
生活機能に障害などを生じてしまう状態」のこと。

多くの高齢者がフレイル状態を経て、要介護へと移行していきます。
気づかずに、そのまま放置していては危険なのです。

自分がフレイル状態にあるのか気になりますよね。
でも大丈夫、フレイルは、自分である程度チェックすることができます!

フレイル状態であるか知るために『5つのフレイルチェック』と、
『指輪っかテスト』をしてみましょう!

微笑む老女性

<5つのフレイルチェック>

次の5つの項目のうち、3つ以上当てはまったら“フレイル”、
2つ当てはまったら前段階の“プレフレイル”の可能性があるので、注意しましょう。

<5つのフレイルチェック>

●意図せずに、6カ月間で2kg以上の体重減少があった

●握力が低下した(男性握力26kg未満・女性握力17kg未満)

●ここ2週間、わけもなく疲れたような感じがする

●歩く速度が遅い
(1秒間に1m歩けない。横断歩道を青信号のうちに渡りきれない)

●軽い運動・体操、定期的なスポーツをしていない

参考資料:健康長寿ネットフレイルの診断

<指輪っかテスト>

ふくらはぎの筋肉の太さを確認して、
身体的フレイルと深く関わるサルコペニアの可能性をチェックするテストです。
サルコペニアとは、加齢に伴い、筋力と筋肉量が低下した状態を指します。

参考資料:NHK健康トップ 筋力低下・筋肉の減少を起こす「サルコペニア」症状セルフチェック

<方法>
① 椅子に座り両足を床につけます。
② 両手の親指と人差し指どうしをくっつけて輪を作り、
ふくらはぎのいちばん太い部分を囲みます。

<結果>
●指先どうしがくっつかない場合:サルコペニアの可能性は低い

●指先どうしがちょうどくっつく場合:サルコペニアの確率が高い(危険度2.4倍)

●指先どうしがくっつき、ふくらはぎと隙間ができる:サルコペニアの確率が高い(危険度6.6倍)

そもそもフレイルの基準って?

フレイルは、健常な状態から介護が必要な状態へ向かう“間”を指し、
さらにそのフレイル状態の一歩手前を“プレフレイル”と呼びます。

フレイルにはまだ明確な基準がないのですが、
身体の衰え、心や認知の衰え、社会性の衰えなどの3つの要因が合わさっていると考えられています。

フレイルは、適切な対策をすれば、また健常な状態へと戻れる可能性があります。

寝たきり、要介護にならないためにも、いち早く自分の状態を知って、
フレイル予防・対策をすることが大切です。

身体の衰え

体重減少・筋力の低下(サルコペニアなど)・疲労感・歩行速度の低下(ロコモなど)・
運動をしていないなど

心や認知の衰え

物忘れ・軽い認知機能障害・抑うつなど

社会性の衰え

独り暮らし・外出の減少・閉じこもりがち・経済的困窮・社会的な孤立など

特に気をつけたい老後の生活スタイル

フレイルの原因は、日常の生活スタイルのなかにも隠れています。

フレイルは、老化による身体の機能低下が原因となりますが、
その他にも、認知機能の低下や、人とのつながりが減ることによっても起こり得るのです。

次のような生活スタイルに気をつけましょう。

高齢者夫婦や、独り暮らしに多い『なんとなく食事』

食事は、栄養やエネルギーを蓄えるためにとても大切です。

しかし高齢になると、食事を作ることも体力が必要となり、毎日同じようなメニューや、単品メニューなどに陥りがちです。

食事の回数が減ったり、偏った食事では、“低栄養”となりフレイルを引き起こす可能性が高まります。

健康に過ごすためには、バランスのとれた食事が必要です。

できるだけ、食事を楽しくする工夫をしましょう。

食事が楽しくない男性

車移動中心の生活

車のハンドルを握る男性
公共機関が少ない場所だと、どうしても車移動が中心の生活になってしまうかもしれません。

しかし、足腰を鍛えるためには、歩くことはとても大切です。

徒歩1分で約80m進むことができる場合、車で5分の距離は、徒歩約41分*です。(* 時速40kmとして)

外出する時は、もしかしたら歩ける距離かもしれない?ということを、意識するようにして、毎日少しずつ歩く時間を増やしていきましょう。

歩くことで足の筋力を維持、鍛えることができ、フレイル予防になります。

誰ともあまり話さなくなった

家族や子供たちと離れていたり、独り暮らしをしていると、なかなか話す機会が少なくなってしまうことも。

しかし、実は「話す」ことはとても大切です。

フレイル予防では、人とのつながりがとても重要なポイントとなっているんです。

話すことで、自分の状態を知ってもらうこともでき、また日常的に会話をすることで、
自分ではわからない変化にも、気がついてもらいやすくなります。

直接会うことができなくても、電話などで積極的にコミュニケーションするようにしましょう。

ビデオ通話など顔を見ながら電話できたりもすると、より安心ですね。

オンライン上で会話する親子とおじいちゃんおばあちゃん

何もしないでいると筋肉は衰えるのです「サルコペニア」

膝が痛くて階段でしゃがむ女性

「サルコペニア」とは、加齢によって筋肉量が減少し、筋力や身体機能が低下している状態を現す言葉です。

そして、サルコペニアは、フレイルと密接な関係があります。

人の筋肉量は、30代から年間1〜2%ずつ減少しており、個人差はあるのですが、80歳頃までには、なんと約30%の筋肉が失われてしまいます。

何もしないと、筋肉量はどんどん減ってしまうのです。

筋肉量が減ってしまうと、歩く速度が遅くなったり、握力が弱くなったりします。

高齢者では、転倒などのリスクが増え、入院、寝たきり、要介護などにもつながります。

ちょっとした段差でも、転んで骨折して寝たきりになることが、しばしば起こってしまうのは理由があったんですね。

特に高齢者の場合は、2週間寝たきりの状態が続くと、1度に7年分の筋肉を失ってしまうとも言われています。

なので、自分の筋力を意識し、さらに衰えないように鍛えることは、とても大切なことです。

サルコペニアを自分で簡単にチェックできる『指輪っかチェック』をして、確認してみましょう。

参考資料:健康長寿ネット 転倒とサルコペニア

参考資料:NHK健康トップ 高齢者・フレイルの方へ 新型コロナウイルスの重症化リスクと注意点

食欲が落ちたら注意!低栄養がもたらす「サルコペニア」

食欲が出ない女性

また高齢者のサルコペニアには「低栄養」が大きく関わっています。

加齢に伴い、嚥下(えんげ)機能が低下し、うまく食べ物を飲み込めなかったりしますよね。

すると、なんだか食欲も落ちてしまうことも多いかもしれません。

食べる量が減ると「低栄養」状態が続き、元気も出ず、身体にも悪影響となってしまいます。

実は、高齢になると、肥満の人よりも痩せた人の方が死亡率が高い傾向になることもわかっているのです。

「低栄養」がもたらす負のサイクルに陥らないためにも、しっかり栄養をとることを心がけたいですね。

<低栄養の早期チェック>
体重の変化 体重が6カ月間に2〜3kg減少
BMI 18.5未満

BMI計算方法
BMI = 体重kg ÷ (身長m)2

まとめ

明るく過ごす

いかがでしたでしょうか?

自分や周りの人がフレイル状態かどうか気づくことはとても大切ですね。

フレイルは、適切に対策をとれば、また健常な状態に戻ることができます。

しかし放置すると寝たきりなどになるリスクも。

「5つのフレイルチェック」や「指輪っかテスト」などでチェックして、
早め早めに予防・対策していきましょう。


コラム監修

田中 清先生

神戸学院大学栄養学部教授、医師、医学博士。
日本骨粗鬆症学会や日本ビタミン学会など数々の学会でご活躍中。

 

 

 

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