- 記事の分類
- 健康コラム
- 公開日
- 2020/10/27
- 最終更新日
- 2020/10/27
骨粗鬆症は私たちにとても身近な病気で、
日本の患者数は1,000万人を超えているといわれています。
しかし、実際に治療をしている方は、この数のわずか2割程度。身近な病気にも関わらず、
自分が骨粗鬆症であることに気づいていない方も多いのです。
骨粗鬆症を放っておくと、どんどん骨がもろくなり、
骨折して寝たきりになってしまうこともあります。
そんな状況を防ぐためには、まずは検査を受け、骨の状態を調べておくことが大切です。
今回は、骨粗鬆症検査にはどのような種類があるのか、どこで受けられるのか、
くわしくチェックしてみましょう。
骨粗鬆症検査って必要なの?
骨粗鬆症検査の必要性
骨粗鬆症はサイレント・ディジーズ(静かな病気)といわれ、
早期のうちは目立った症状が現れません。
骨粗鬆症になると背骨の圧迫骨折が起こりやすくなりますが、
骨折しても痛みがないことも多いのです。
このような症状は“いつのまにか骨折”と呼ばれ、背中や腰が曲がる原因になります。
「姿勢がかなり悪くなってから、骨粗鬆症になっていることに気づいた」
という方も珍しくありません。
骨粗鬆症はそのくらい気がつきにくい病気ですから、
たとえ目立った症状がなくても検査を受けて、異常がないか確認しておくことが大切です。
早期検査のメリット
骨粗鬆症を早期発見し、早めに治療をすれば、骨折を防げるという大きなメリットがあります。そもそも骨折による弊害は、痛みや見た目の変化だけではありません。
骨折すると身体機能が衰えて、寝たきりになってしまうこともあるのです。
骨粗鬆症の治療は、一般的に内服薬でおこなわれます。プラリアという注射薬も普及しつつあります。
早期発見し、薬を飲んで骨折を防ぐことができれば、
結果的に健康寿命(自立した生活ができる期間)を延ばすことにつながります。
早期検査がどれだけ重要なのか、お分かりいただけたのではないでしょうか。
また、たとえ骨粗鬆症になっていなくても、骨の健康状態を知ることはとても大切です。
骨密度は20~40歳の間はあまり変わらず、それ以降に減少していくといわれています。
若いうちに自分の骨密度を知っておけば、その値を基準にできますから、
加齢による骨の変化が分かりやすくなりますよ。
どのくらいの頻度で検査をすべき?
女性の場合、閉経後は女性ホルモンの分泌量が減る影響で、骨密度が低下しやすくなります。
特に症状がなくても、40歳になったら1年に1度は検査を受けるのが理想といえます。
骨量が1年に3%以上減少している場合は、経過を見るために半年に1度の検診が必要です。
男性は、女性に比べて骨粗鬆症にかかりにくいと言われていますが、
高齢になったら2年に1度の頻度で測定しましょう。
ただし、お酒をよく飲む方、喫煙している方、
栄養や運動が著しく不足している方などは罹患しやすいため、油断は禁物です。
少しでも不安要素があるなら、若いうちから検査しておきたいですね。
骨粗鬆症検査はどこで受けられる?
保健センター
骨粗鬆症検診は、お住まいの地域の保健センターでおこなわれています。
費用はそれぞれの地域によって異なり、300~1500円程度です。
詳細については、お近くの保健所や保健センターにお尋ねください。
地域によっては、
保健所のホームページに検診実施日や予約状況が記載されていることもあります。
検診を希望する方は、チェックしてみてはいかがでしょうか。
また、保健センターでは、骨粗鬆症関連の教室が開かれていることもあります。
内容は、高齢女性に向けた骨折予防体操などです。
骨粗鬆症は身近な病気のため、地域ごとにさまざまな対策がおこなわれています。
指定医療機関
骨粗鬆症に関する検査は、指定医療機関にて受けられます。
骨粗鬆症センターを開設している医療機関もありますので、
より高度な診療を受けたい方は調べてみてはいかがでしょうか。
また、民間の医療機関でも、検査機器があれば測定可能です。
自主的に受診する場合、費用は全額自己負担になります。
かかりつけの病院があるなら、問い合わせてみましょう。
骨粗鬆症の検査方法
骨密度検査
骨粗鬆症の検査では、医師からの問診、骨密度検査、検体検査などがおこなわれます。
その中で、骨の健康状態を知るためにおこなわれるのが、骨密度検査です。
さまざまな測定方法があり、どの検査がおこなわれるかは、実施機関などによって異なります。
診断の決め手になるのは、若年成人との比較です。
若年成人の平均値を100%とし、現在の骨密度が80%以上なら正常、
70~80%だと骨量減少、70%未満だと骨粗鬆症と診断されます。
※骨密度が70%以上でも、脆弱性骨折が見られる場合は骨粗鬆症と診断されます。
ではここからは、主な骨密度検査とそれぞれの所要時間について見ていきましょう。
・DXA法(二重X線吸収法)
DXA(デキサ)法は、骨にエネルギーの低い2種類のX線を当てて測定します。
骨を通過できなかったX線の量から、詳細な骨密度を割り出すのです。
全身のほぼすべての骨を測ることができ、信頼度も高いといわれています。
測定時間は、腰椎なら1分程度。検査前の食事制限をする必要はありません。
放射線を用いますが、被曝量はわずかです。
ただし、妊娠中または妊娠の可能性がある方は、事前に担当医師にご相談ください。
・超音波法
超音波法は、かかとの骨に超音波を当て
骨の中を通り抜ける速度で骨密度を測定します。
健康診断などで用いられることの多い検査方法です。
所要時間は2分以内と、こちらもスピーディーに測定できます。
X線を使用しないため、妊娠中または妊娠の可能性がある方でも安心です。
検体検査
検体検査では、血液や尿によって骨の代謝に異常がないか調べます。
そもそも骨は日々作り変えられていて、破骨細胞が古い骨を壊す「骨吸収」と、
骨芽細胞が新しい骨を作る「骨形成」がくり返されています。
このサイクルを「骨代謝(骨リモデリング)」というのですが、代謝とともに放出される成分を測定することで、
骨代謝が正しくおこなわれているか診断できるのです。
骨密度検査では、骨の現状しか知ることができません。
一方、検体検査なら今後の骨密度の変化や、骨折リスクを予測することができます。
骨代謝マーカーが高い方は、骨量の低下が早く、今後の骨折リスクが高いと判断されます。
骨粗鬆症の治療の際は、骨密度検査と一緒におこなわれるのが一般的です。
まとめ
骨粗鬆症を見過ごしていると骨折しやすくなり、
最悪の場合、寝たきりになることもあります。
早めに対処するためにも、定期的な検査が必要なことは間違いありません。
コラム執筆
エフライト 冷水香
コラム監修
神戸学院大学栄養学部教授、医師、医学博士。
日本骨粗鬆症学会や日本ビタミン学会など数々の学会でご活躍中。

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