ワダカルショップ

「HMB」の効果とは? 筋肉づくりに役立つ摂取方法もチェック

「HMB」の効果とは? 筋肉づくりに役立つ摂取方法もチェック

記事の分類
健康コラム
公開日
2020/07/02
最終更新日
2020/07/02

皆さんは、「HMB」という成分を知っていますか? アスリートの方、筋トレを本格的におこなっている方以外は、あまり耳なじみのない言葉かもしれませんね。
実はHMBは、私たちの筋肉に深く関わる成分で、筋力の維持やダイエット、美容などにも有用だと注目されています。HMBはどのようにして作られるのか、期待できる効果や適切な摂取方法とともに、くわしく見ていきましょう。

【Index】
◆HMBってどんな成分?
・HMBの特徴・働きとは
・体内で生成されるHMBの量は?
◆HMBに期待できる効果って?
・筋肉の合成促進
・筋肉の分解抑制
◆HMBの効率的な摂取方法とは?
・飲み方
・摂取するタイミング
・摂取時の注意点
◆まとめ

HMBってどんな成分?

HMBの特徴・働きとは

HMBは、「β-ヒドロキシ-β-メチル酪酸(beta-hydroxy-beta-methylbutyrate)」の略称で、必須アミノ酸の1つであるロイシンの代謝産物です。タンパク質が豊富な食材に含まれております。タンパク質は体内でアミノ酸に分解されたのち、そのごく一部がHMBになります。

体内で作られたHMBは、「筋肉を作れ」「筋肉を守れ」という刺激を出し、私たちの体づくりをサポートします。HMBは、筋肉を合成するとともに、分解を防ぐスイッチをONにしてくれるのです。筋肉は立つ・歩くなどの動作に必要な運動器官ですから、HMBは健康的な日常生活を送るためにも大切な成分といえるでしょう。

HMBはもともと体内で生成される成分のため、安全性が高く、安心して摂取できるのがうれしいポイントです。活躍の範囲は広く、スポーツや医療のほか、リハビリの分野にも活用されるほど。近年では、筋トレやダイエットのために摂取する方も増えてきています。

そもそもロイシンは、筋肉の合成に役立つとも言われています。その有用性は、ロイシンからHMBが生成される点にあります。HMBは筋肉にダイレクトに働きかけるため、非常に効率的だと注目を集めているのです。

体内で生成されるHMBの量は?

HMBの摂取量は、1日あたり1.6~3gが望ましいといわれています。しかし、体内で生成されるHMBの量は、1日あたりわずか0.2~0.4gほど。これは、体内に摂り入れられたロイシンのうち、たった5%程度しかHMBに変換されないためです。この少量では
十分といえず、筋肉づくりに役立ちにくいと考えられます。

とはいえ、HMBを十分に摂取しようと思うと、ロイシンを含むタンパク質を大量に摂る必要があり、カロリーオーバーにつながってしまいます。ロイシンを豊富に含むプロテインでも、1日分のHMBを補うためには約50杯も必要といわれているのです。これでは健康を維持するどころか、栄養過多で不健康になってしまいますよね。タンパク質を多く取る必要がありますから、食の細い高齢者や胃腸機能が低下した方であれば、さらに困難でしょう。

このようにHMBは食事から補うことが難しいため、近年ではサプリメントによって直接摂取する方法が選ばれています。サプリメントを用いることでカロリーオーバーや胃腸への負担を気にせず、有効成分のみを効率よく補給できるのです。

そもそもHMBは、アメリカの医師スティーブンE.ニッセンによって効能が発見されたもの。ゆえに、HMBサプリメントというと、かつては海外からの輸入品が主でした。ですが近年では、日本でもHMBの有益性が注目され、サプリメントの生産が活発になっています。ドラッグストアではあまり見かけませんが、通販ではたくさんの数が流通し、すでに多くの方に愛用されています。

HMBに期待できる効果って?

筋肉の合成促進

HMBには、筋肉の合成・増大を促すとともに、筋肉の分解・減少を防ぐ効果が期待できます。まずは筋肉を増やすメカニズムから見ていきましょう。

私たちが筋トレなどの運動をおこなうと、体内ではmTORという酵素によって筋肉の合成が進みます。HMBは、このmTORを活性化させ、「筋肉を作れ!」というスイッチをONにするのです。この作用から、効率的に筋肉の増大を促すことが分かっています。

・基礎代謝量UPによるダイエット効果も
筋肉は多くのエネルギーを消費するため、HMBの作用はダイエットにも役立ちます。筋肉量を増やすことで基礎代謝量を向上させ、消費されるエネルギーを増やすのです。HMBサプリメントを利用すれば、カロリーオーバーになる心配もありません。筋肉をつけたい方だけでなく、太りにくく痩せやすい体を目指す方にも効果的です。

・筋力強化効果でアスリートをサポート
アスリートやスポーツ愛好家の方にも、HMBの筋力強化効果が支持されています。HMBを摂取するほど、筋力が有意に増加することが報告されているのです。その効果の高さから、ボディビル用サプリメントとしても人気です。トレーニングとHMBを併用することで、より高いパフォーマンスにつながります。

筋肉の分解抑制

HMBには、筋肉の減少を防ぐ効果も期待できます。そもそも筋肉は多くのエネルギーを消費するため、残念なことに体内で優先的に分解されてしまいます。動かないと筋肉が衰えることは有名ですが、実は運動中にも筋肉の分解は進んでしまうのです。

筋肉が分解される際には、MuRF1という酵素が働きます。しかし、ここでHMBが役立ちます。HMBが「筋肉を守れ!」をいうスイッチをONにして、MuRF1の働きを抑制するのです。この作用により、筋肉量の維持につながると考えられています。

・筋力の低下を防いでサルコペニア対策に
HMBは加齢による筋肉減少を防ぐため、サルコペニア対策にも効果的です。筋力を維持することで、日常生活の自立度向上を促します。「最近疲れやすくなった」「長時間歩くのがつらい」「何もないところでつまずいてしまう」「片足立ちが難しくなった」などの変化を感じている方は筋肉量の減少が考えられますので、運動とHMBを併用してみてはいかがでしょうか。

HMBの働きを利用すれば、普段の何気ない活動でも筋肉の合成や維持につながります。海外の研究では、高齢者がHMBを1日あたり2gの摂取を4週間継続したところ、体重や筋肉量が有意に改善されていました。健康寿命を延ばすためにも、HMBが有用だと考えられています。たとえまとまった運動ができなくても、徒歩での通勤や掃除などの家事にHMBを併用して、「貯筋」を目指しましょう。

・筋肉痛や筋疲労を軽減する効果も
HMBは筋肉の分解を防ぐため、筋肉痛や筋疲労を軽減する効果もあります。痛みやコンディションの低下を防ぐことができれば、運動後のストレスが減り、継続もスムーズになるでしょう。アスリートの方はもちろん、定期的に楽しく運動したい方、ダイエットのための運動を続けたい方にもおすすめです。

・美容にも役立つ
意外なことに、HMBは美容にも役立ちます。皮膚組織や脂肪を支えている筋肉の分解を防ぐことで、肌のハリを保ちやすくするのです。代謝量が上がれば、自然と引き締まったボディラインにも近づきます。歩く・立つなどの身体機能だけでなく、見た目も若々しく保ちたい方に効果的です。

HMBの効率的な摂取方法とは?

飲み方

すでにお伝えしたように、食事から多くのHMBを摂取することは困難です。効率的に摂取するために、HMBを含むサプリメントを利用しましょう。

中でも効率よく補給できるのは、HMBカルシウムを用いたサプリメントです。HMBカルシウムはその名の通り、HMBとカルシウムを結合したもので、有効成分を体内にスムーズに届けます。加齢とともに減少するカルシウムも一緒に摂取できるため、ロコモ対策や健康維持に、より効果的です。

・プロテインとの併用がおすすめ
HMBサプリメントは単独で飲んで構いませんが、プロテインを併用すると、さらに効率よく筋肉の合成が促されます。HMBが筋肉を作るスイッチをONに、プロテインが筋肉の材料になることで、強力な合成につながるのです。積極的に運動されている方はもちろんのこと、タンパク質が不足しがちな方にも、この組み合わせをおすすめします。

サプリメントは水などと一緒に摂取します。喉の通りが不安な場合は、1粒ずつゆっくり飲みましょう。飲む時間などに決まりはありませんが、以下のようなタイミングで摂取すると効果的です。

摂取するタイミング

・運動前の摂取がベスト
HMBを摂取するタイミングは、運動の1~2時間前がベストです。これは、HMBカルシウムを摂取してから1~2時間後に血中濃度がピークになるため。このタイミングで飲むことで、運動中の筋肉の分解も防ぐことができます。摂取後は24時間ほどで血中濃度がほぼゼロになるため、毎日継続して飲むことも大切です。

プロテインを併用する場合は、運動前にHMB、運動後にプロテインを摂取すると効率的です。プロテインの摂取は、運動後30分以内がベストだといわれています。

なお、特別な運動をしない日でも、通勤前や掃除前などに飲んでおきましょう。ちょっとした運動でも効率よく作用するので、積極的に取り入れることをおすすめします。外回りやショッピング、散歩などの前でもOKです。ライフスタイルにあわせて取り入れてくださいね。

・小分けして飲んでもOK
「目立った運動をしない」「1日分を一気に飲むのは大変」という場合は、小分けして飲んでも構いません。分けて飲むと体内に多くのHMBを留めることができるので、結果的に吸収率アップにつながります。1日3~5回、以下のようなタイミングに取り入れてみましょう。

・ 起床後
・ 運動前後
・ 食後
・ 就寝前

摂取時の注意点

・1日の適用量を守る
HMBは、過剰摂取しても副作用はないと報告されていますが、たとえ適切量の2倍量を摂取しても効果に違いはほとんどないといわれています。効率よく摂取するためにも、1日の適用量を守りましょう。

・サプリメントの形状や品質にも注意
サプリメントにはさまざまな種類・形状がありますが、大きい錠剤だと飲み込みにくいため、避けたほうが安心です。HMBは継続して摂取する必要がありますから、できるだけ小粒で喉の通りがいいサプリメントを選びましょう。特に高齢者の方は、細心の注意を払って選ぶことをおすすめします。

また、当然ながら品質もとても重要です。安心して続けるために、医薬品と同レベルの品質管理をおこなっているメーカーのものを選びましょう。継続するほどお得になる定期コースがある商品もおすすめです。

・筋肉強化やダイエットのためには積極的な運動を
HMBは、日常生活の中でも筋肉に効率よく働きかけてくれますが、よりしっかり筋肉量を増やしたい場合は、筋トレなどの積極的な運動が必要です。ダイエット効果を求める方も、代謝量アップのためにこまめな運動をおすすめします。

運動は自宅でできるものでも十分です。スクワットやダンベル運動であれば、限られた場所でも続けやすいでしょう。ダイエットのためなら、踏み台昇降や縄跳びなどの有酸素運動も取り入れると効果的です。無理なく続けられる運動を探してみてくださいね。

なお、サプリメントは疾病の診断、治療、予防を目的としたものではありません。持病をお持ちの方は、事前にかかりつけの医師や薬剤師にご相談ください。また、体調に異変を感じた際は速やかに摂取を中止し、医療機関を受診しましょう。

HMBで自立した活動的な毎日に

筋力の大切さが見直されている今だからこそ、筋肉の合成や維持を助けるHMBが多くの方に注目されています。ロコモ対策、ダイエット、スポーツ、美容など、さまざまな分野に効果が期待できる成分ですから、幅広い年代の方に有用といえるでしょう。ハツラツとした健康的な毎日を送るために、また、若々しいプロポーションを保つためにも、HMBサプリメントを取り入れてみてはいかがでしょうか。

コラム執筆

エフライト 冷水香


コラム監修

田中 清先生

神戸学院大学栄養学部教授、医師、医学博士。
日本骨粗鬆症学会や日本ビタミン学会など数々の学会でご活躍中。



人気のコラム